それは隠者

暗く細い道を歩いていると、遠くに人影が見える
ずっと動かなくて不気味だなと思いながら、だんだん進んで近づいていくと
単なる立て札だったりする。

けどそこを通るたび、わかっちゃ居るけど
どうしても「人」に見える。毎回それを繰り返す。

明らかに大きさが違っても、違うからこそ、
本当は何かが宿っていて物の振りをしているのではないか?
と、不気味な感じが強まります。例えば遠くから見る、井戸のポンプ?とか。

実は物のふりをした者に、そうとは知らず人は結構出会っているのじゃないか?
毎回見入って確かめてしまいます。

近づくと確かに物なんだけど、本当は何かが宿ってい るのではないか?


車で夜、人型になった幌の前を通るんです。くすんだカーキのそれは山際に張り付くように置かれています。
普通は近づくにしたがって「物に戻る」筈が近づくにつれ、山に向かって掘り進む人の背中のようになって、 通り過ぎる時は正に動き出しそう。

苦悩めいたマントを被る骨ばった肩、、そこで、隠者と呼ぶ事にしました。


どうも幌の中身は放置されている様で全く変わりないらしい。でももしや。。。

いつかこっそり、幌をめくって見てやろうと思っているのですが他人のものですから

最近、隠者に危機が迫ってきたんです!
もう何年も同じだったのに、、、
ちょっと前には、隠者の前に車が駐車され。趣が台無しに。
数日して車は移動したのですが、とどめが来ました。
多分もう永久に隠者の手前には、紺色にシマ模様だか、ロープで巻いているんだかで
やけに現代的なずんぐりした「物」が置かれるようになったんです!!

台無しです。居場所が物置になってしまった。

隠者が「物」になってしまうじゃないか! それとも陽気な友人が出来たのか?
イヤイヤ、そっぽ向いてまだ山を掘ってるから仲良くはなれないだろう。

そういえば、人型でなくても、不気味っぽい気分になる要素の物は結構ある。
それも、隠者なのかも?  そうだ、隠者の定義を広げてもっと探そう!



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